岸和田市の台風で落下したケラバの袖瓦と棟の修復で瓦をビスで固定
岸和田市の台風で雨漏りした瓦屋根の修理です。S様邸は木造の2階建てで屋根は土葺き、青い釉薬瓦を葺いています。台風で屋根の瓦が落下したり割れるなどの被害を受け、部屋内に雨漏りしてしまいました。遠方に住まわれていた娘さんにご依頼を受けて屋根をブルーシートで応急処置させていただき、その後、ご実家に戻ることになったので本格的に屋根を修理してほし、とのご相談がありました。今回は、屋根のケラバの修理の様子をご紹介します。ケラバとは、屋根の雨樋が付いていない端部分(三角になった面)のことで、そこに葺かれている袖瓦がほとんど落下している状態です。

ここは下屋の下にある和室で、下屋の瓦が割れたことで天井に雨漏りしていました。
雨漏りしてから応急処置もできない状態が続き、カビも発生し、大変お困りでした。

古くなってきていた天井板が雨水で濡れて、表面が剥がれてきている状態です。

大屋根(一番高い屋根)の袖瓦が強風に飛ばされてほとんどが落下してしまいました。
この部分は屋根の端ですのですぐに部屋内に雨漏りすることはありませんが、葺き土が流れて周囲の瓦のバランスが崩れる危険性があります。

棟は屋根の頂点部で屋根面同士の取り合いになるため、瓦を積み上げて雨仕舞しています。瓦の下には隙間があり、そこから雨水が浸入すると雨漏りの原因になることがあります。
この記事では袖瓦と棟の修復の様子を分かりやすくお伝えします。

職人の安全を確保し、作業性を高めるために被害箇所の全面に足場を設置しました。

屋根の端のケラバと、棟の一部を修復します。
応急処置させていただいたブルーシートと土のうを撤去して作業を行います。

ほとんどの瓦が落下して割れてしまったので、新しい釉薬瓦をご用意しました。
釉薬瓦とは瓦の表面に釉薬という「うわ薬」をかけて焼いた瓦のことです。釉薬により様々な色を付けることができ、洋風の釉薬瓦もあります。

土葺きの屋根は粘り気のある土により瓦を固定していますが、経年で土が乾燥して痩せてくると瓦の固定力が低下してズレやすくなります。瓦がズレると隙間が生じ、雨漏りの原因になる可能性がありますし、隙間に強風が吹き込むと瓦がめくれ上がってしまいます。

葺き土を足し、軒先から順番に瓦をのせて密着させて固定していきます。
土が乾燥し、痩せている状態で瓦をのせると「カタカタ」と動いて安定が悪く、きちんと固定できません。



瓦は軒先から順に重ねていますので、葺いている瓦を固定する際は重なり代でビス留めできません。
この後、ビス頭から雨水が浸入しないように、シーリングを充填して防水しました。

一番上の袖瓦は棟の下になりますので、両側の袖瓦を復旧してから崩れた棟を修復しました。
重量のある鬼瓦は太い銅線を通してしっかりと固定させていただきました。

S様邸の屋根は全体的に傷んできていたので、屋根面の瓦も飛散しないようにシーリングを充填して固定しました。


