泉佐野市の屋根の修理で葺き土とシーリングで瓦を固定しました
泉佐野市の台風被害に遭った瓦屋根の修理のご紹介です。
Y様邸は土葺きの瓦屋根で、台風時の強風で屋根の瓦がめくれ上がって落下してしまいました。被害が多かったのが袖瓦(屋根の雨樋が付いていない方の面の端)部で、瓦がほとんど飛ばされていました。台風から応急処置できないまま数カ月が経ち、下地の葺き土が流れて1階の和室の天井に雨漏りも発生していました。この工事では袖瓦部を復旧し、また被害に遭うのを防ぐために1枚1枚ビス留めさせていただきました。また、屋根面の瓦もめくれたりズレていたのでズレを戻してシーリングでしっかりと固定しました。
工事の前に仮設足場を部分的に建てさせていただきました。この足場は、墜落防止用及び昇降用、作業用として使用します。
屋根の上で作業中、万が一道具が滑り落ちたり、職人が落下するのを防ぎ、職人が道具を持って上り下りする時に活躍します。「足場が無くても大丈夫なんじゃない?」と思われる方がおられるかもしれませんが、屋根の上を行き来していると危険な場面がたくさんあります。屋根の工事を確実に行うためにも足場が必要になることがほとんどです。
屋根の被害状況です。
大屋根(一番高い屋根)の袖瓦が強風に煽られて落下していました。
よく見ると、下地の葺き土もほとんど流れてしまっています。よく見ると、地瓦(屋根面の瓦)もズレていることが分かります。
下屋(1階の屋根)の袖瓦も強風の影響で落下していました。
葺き土がすべて流れてその下にある黒い防水シートが見えています。この下の和室の天井で雨漏りが発生していました。
瓦が飛ばされても防水シートが傷んでいなければ雨漏りすることはありませんが、この防水シートは昔よく使用されていたもので、現在使用されているルーフィングよりも耐久性に劣ります。
袖瓦は屋根の端に位置しますので風や地震の影響で動きやすい箇所です。そのため、もともと銅線を通して固定されていましたが、銅線が切れて瓦が飛散してしまったようです。
飛散しなくて屋根に残っている袖瓦も固定力が弱まり動いていたので仮撤去して固定しなおします。
土葺きの屋根は粘り気のある土により瓦を固定しています。Y様邸は雨により葺き土が流れていたので、新しい葺き土をのせて瓦を復旧します。
葺き土は経年で乾燥して痩せてきますので、そうすると瓦の固定力が弱くなりズレや飛散の原因になります。屋根の瓦をすべてめくって土を入れ替えるとなると葺き替え同様の費用が掛かってしまうため、シーリングで瓦同士を繋いで固定する方法をとります。
先ほどもお伝えしましたが、袖瓦は風や地震の揺れで飛散する可能性があります。以前は銅線を通して固定されていましたが、もっとしっかりと固定するために瓦に穴をあけて、木下地に向かって1枚1枚ビス留めさせていただきました。
今回被害に遭った袖瓦部はもちろん、飛散しなかった袖瓦もすべてビス留めさせていただいたので安心です。
瓦を留め付けているビス頭から雨水が染み込んで雨漏りしたり、下地の木部を腐食させないようにビス頭にシーリングを充填してきちんと防水しました。
Y様邸は地瓦も一部風でめくれ上がっていました。
めくれ上がった瓦を撤去し、新しい葺き土を敷いてから復旧しました。周囲の瓦もズレていたので、ゴムハンマーで叩いて元に戻しました。
大屋根の棟(屋根の頂点の水平部)も風の影響を受けやすいので、太い銅線を通して固定させていただきました。
銅線は経年で傷んで、切れることがありますので既存の銅線よりも太いものを使用しました。
棟の端に施工されている鬼瓦の取り合いの漆喰がポロポロと剥がれてきていたので詰めないしました。
漆喰は瓦同士の隙間を埋めて雨水の浸入を抑える役割があります。また、瓦を固定する際にも使用されます。
近年は異常気象で大型の台風が頻繁に上陸します。その時にできるだけ被害を防止するためにシーリングで瓦同士を繋いで固定させていただきました。
被害に遭いやすい棟部もシーリングを用いてしっかりと補強しています。
屋根面の瓦もシーリングを充填して固定しました。
この作業を「ラバーロック」と言い、瓦の飛散を防止するのに有効です。しかし、想定以上の強風が吹き荒れると、瓦がまとめてズレることがありますので、そのこともふまえて検討しましょう。
大屋根と同様に、下屋の瓦もシーリングで固定しました。
これで、強風で瓦がバラバラになって落下するのを防ぐことができます。
大屋根の軒樋が端から端まで飛散していたので、新しい樋を取付けました。
軒樋は受け金具という金具にはめ込んで固定していますので、受け金具から外れると飛散してしまいます。今後、樋が外れないように、受け金具の両端に銅線を通して引っ張って固定しました。下屋の樋も穴があいていたので、部分的に交換しました。
ベランダのテラス屋根の波板が風ですべて飛ばされてしまったので、新しい波板、ポリカ波板に張り替えました。
ポリカ波板は衝撃に強く柔軟性があるため、ほとんど割れることはありません。また、紫外線などの外気の影響による変色や変形などの劣化症状も少ないので長くご使用いただけます。